ライバー事務所のスカウトや募集を見ていると、「還元率100%」「還元率◯%」という言葉をよく見かけます。でも、その数字が何に対する割合なのか、還元率100%で事務所はどうやってやっていけるのかまでは、書かれていないことがほとんどです。
この記事では、TikTok LIVEを例に、報酬が配信者に届くまでの流れと、提携事務所がどこから収益を得ているのかを整理します。そのうえで、契約前に確かめたいことと、面談で聞きたい質問をまとめます。
還元率とは
還元率は、配信で得た報酬のうち、配信者の手元に入る割合のことです。事務所が条件を説明するときに使う言葉で、計算のしかたは事務所ごとに違います。
同じ「還元率100%」でも、次の3つで中身が変わります。
| 確かめること | 例 |
|---|---|
| 何の金額に対する割合か | TikTok LIVEの報酬だけか、企業案件やグッズの売上も含むか |
| ほかに払うお金があるか | 登録料・月額費用・レッスン料・機材のレンタル代など |
| どう受け取るか | TikTokから自分の口座に入るのか、事務所を通して支払われるのか |
数字の大きさだけで比べず、この3つをそろえて比べることが大切です。
TikTok LIVEで報酬が配信者に届くまで
まずは、TikTok LIVEの報酬がどこから来るのかを押さえておきましょう。
- 視聴者がコインを買い、配信者にギフトを贈る
- 配信者は、LIVEの人気度に応じてダイヤモンドを受け取る
- TikTokが、ダイヤモンドに加えて、配信時間、新しいフォロワー、視聴者の反応、配信日数などを見て、LIVEの報酬を決める
- 報酬は、配信者が登録した口座に支払われる
報酬の受け取り先は、本人の名前で登録した銀行口座などです。受け取れるのは18歳以上の人です。
気をつけたいのは、ギフトの金額やダイヤモンドの数が、そのまま報酬の額になるわけではないことです。ダイヤモンドと報酬の交換レートも公開されていません。だから「ギフトの◯%」「ダイヤモンドの◯%」と言われても、手元にいくら入るのかは計算できません。還元率を確かめるときは、TikTokが決めた報酬の額に対して何%かで考えると分かりやすいでしょう。ギフトの仕組みは「TikTok LIVEで稼ぐ方法」で詳しく紹介しています。
提携事務所はどこから収益を得ているのか
還元率100%なら、事務所の取り分はどこから出てくるのでしょうか。
TikTok LIVEには、マネジメント会社と提携してクリエイターを支えるTikTok LIVE Creator Network(通称「エージェンシー制度」)という仕組みがあります。提携した事務所は、TikTokから報酬を受け取れます。さらに、月ごとのボーナスがもらえるプログラムにも参加できます。
つまり、提携事務所のお金の流れは、配信者の報酬とは別にあります。
- 配信者:ギフトなどをもとにTikTokが決めた報酬を、TikTokから受け取る
- 提携事務所:TikTokの決まりやボーナスのプログラムに沿って、TikTokから報酬を受け取る
だから、配信者の報酬から手数料を引かなくても事務所がやっていけて、**還元率100%**にできる事務所があるのです。なお、提携事務所が受け取る報酬の計算方法は公開されていません。
ほかのライブ配信サービスでも、事務所がサービスの運営会社から報酬を受け取る形があります。たとえばPocochaでも、所属ライバーの配信をもとに、運営会社のDeNAから報酬を受け取っているライバー事務所があります。ただ、お金の流れや分け方はサービスや事務所ごとに違うので、契約前に必ず確かめましょう。
還元率が100%ではない事務所もある
配信者の報酬の一部を、事務所の手数料として受け取る契約にしている事務所もあります。その場合は、次の点を確かめましょう。
- 何%を、どの金額から引くのか
- 引くタイミングと、配信者に支払われる日
- 明細(いくらの報酬から、いくら引いたか)を見せてもらえるか
還元率が低いこと自体が、悪いとは限りません。手数料の代わりに、機材の貸し出しや制作のサポートが付くこともあるので、条件の組み合わせで考えましょう。逆に、還元率100%でも、別にレッスン料や月額費用がかかれば、手元に残るお金は減ります。
「100%」が何に対する100%かを確かめる
契約前に、次の項目を口約束ではなく、契約書やメールなどの書面で確かめておきましょう。
- 還元率の対象は、TikTok LIVEの報酬か。企業案件・グッズ・イベント出演の報酬はどう分けるか
- 登録料・月額費用・レッスン料・機材代など、自分が払うお金はあるか
- TikTok LIVEの報酬は、自分の名前の口座でTikTokから受け取るのか
- 還元率や費用の条件が、契約の途中で変わることはあるか。変わるときはどう知らされるか
- 企業案件の報酬は、いつ・どうやって支払われるか
2024年11月に始まったフリーランス法では、フリーランス(従業員を雇わずに働く個人)に仕事を頼む側は、報酬の額や支払日などの条件を、書面やメールで示さなければなりません。事務所との契約によっては、このルールの対象になります。
還元率だけで事務所を選ばない
還元率は大切な条件ですが、それだけで事務所の良し悪しは決まりません。同じ還元率100%でも、次の点は事務所によって大きく違います。
- サポートの中身:配信の企画や振り返り、企業案件の紹介、トラブルへの対応を、誰がどのくらいの頻度でしてくれるか
- 契約期間と解約:契約の長さ、途中でやめるときの手続き、違約金があるか
- やめたあとの制限:2025年12月には、契約が終わったあとも一定期間、ライブ配信やほかの事務所への移籍を制限する条項を入れていたライバー事務所4社が、公正取引委員会から注意を受けています
所属や面談の前に、登録料やサポートプランの支払いを求めてくる業者にも気をつけましょう。「エージェントになれる」と言って高額なサポートプランを契約させる業者について、2022年には消費者庁が注意を呼びかけています。
事務所選びのチェックポイントは「ライバー事務所の選び方」、所属するかどうかの考え方は「ライバー事務所に所属するメリット・デメリット」で詳しくまとめています。
面談で聞きたい質問
- TikTok LIVE Creator Networkに参加していますか
- 還元率は何%ですか。何の金額に対する%ですか
- 企業案件やグッズの売上は、どう分けますか
- TikTok LIVEの報酬は、誰の口座に支払われますか
- 自分が払う費用はありますか
- 還元率や費用の条件が変わることはありますか。変わるときは、どう知らされますか
答えをメモしておいて、2〜3社を同じ質問で比べると、違いが分かりやすくなります。
よくある質問
還元率100%の事務所は、どうやって利益を出しているのですか?
TikTok LIVEの提携事務所は、TikTokから報酬を受け取っています。そのため、配信者の報酬から手数料を引かなくてもやっていけます。ただ、別の費用を求められないかは確かめておきましょう。
還元率100%なら、どの事務所でも同じですか?
同じではありません。サポートの中身、契約期間、やめるときの条件、企業案件の扱いなどは事務所ごとに違います。還元率とあわせて比べましょう。
事務所に入ると、報酬の受け取り方は変わりますか?
TikTokの報酬は、本人の名前で登録した口座に支払われます。所属したあとの受け取り方や、企業案件の報酬の支払い方は、面談で確かめておきましょう。
ダイヤモンドは1つ何円になりますか?
ダイヤモンドと報酬の交換レートは公開されていません。報酬は、ダイヤモンドに加えて、配信時間や視聴者の反応なども合わせて決まります。
参考情報
- 報酬ポリシー(TikTok)
- LIVEギフト(TikTokヘルプ)
- TikTok LIVE Creator Network(エージェンシー制度)
- TikTokニュースルーム:TikTok LIVE Creator Network(2024年4月25日)
- 公正取引委員会:ライバー事務所を運営する事業者に対する注意について(2025年12月9日)
- 公正取引委員会:フリーランス法 Q&A
- 消費者庁:ライブ配信希望者のエージェントになるためとして高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起(2022年11月17日)
還元率100%のTikTok LIVE事務所「365エージェンシー」
365エージェンシーは、TikTok LIVEを主軸とするゲーム配信者専門の事務所です。所属費用は0円、TikTok LIVEの報酬還元率は100%。中間マージンがかからない理由はTikTok LIVEとの関係、費用と契約期間は費用と契約にまとめています。応募・相談は公式LINEで受け付けています(応募の条件と流れ)。
